rand()%THOUGHT;

« -- | main | -- »

Mar 22, 2006 / 3:30 AM
ex・ist・ence

以下、三流の短編小説の原文のような話。

「タバコ1本もらえませんか?」
と、極めて礼儀正しくお願いしてきた彼は、
ぱっと見たところ、髪を伸ばし過ぎた三十路過ぎのサーファーといった感じであったが(わりと二枚目)
よく観察してみると帰る家がないようだった。
人々が足早に通り過ぎる陸橋の上で、
彼は、とりわけ鮮明な生命感を伴ってそこにいた。
この人には確実に何かが欠落している、という直感的/野性的な恐怖とともに、
くすむことなく見えてくるものもがあった。
黒々とした瞳から発せられる突き通すように美しい眼差しが印象に残った。
「どうぞ」、と差し出したタバコを受け取って吹かしながら立ち去る彼の、キャッチャー冠りのキャップに、
EXISTENCE」と大きく書いてあった。


by HIRA