概要
私たちが知っている丸い地球が、足下に広がる大地と一致した事はあるだろうか?
私たちは丸い地球の上で生活しているにも関わらず、それを感じる事は出来ない。
この作品はそれを可能にするものである。
操作デバイスの延長線と地球の交点を知ることで、自分の足下に広がる巨大な球体、地球の向きを間接的に知ると同時に、地球上の自分の位置を再認識することができる。
体感者の想像力が、足下から地球の反対側にまで達する時、一見バーチャルに見えるスクリーン上の地球は、今までに無いリアリティを持ち、足下の大地とシンクロし、現実になり得る。
それは、記憶・知識として既に我々が知っている地球に対して、別の感覚からアクセスする行為である。我々のほとんどは、宇宙から地球を見下ろした経験が無いにも関わらず、我々は、衛星写真などの先端技術を通して、地球の外観を知っている。だが、この作品では、地球を見下ろすことはせず、あえて足下、地中から地球を見る。それは、我々の身体を地球に拘束したままで得られる、新しい感覚であるはずだ。
地面越しに地球を指差すと言う体験は、体験者の意識に何らかの変化を与える可能性を持っている。例えば、地面越しにイラクを指差すことができれば、ニュースの見え方が変わるかもしれないし、旅先を指差す事が出来れば、旅行前の楽しみが増えるかもしれない。しかし、この作品は何かを感じる事を強制するものではない。体感者の言葉にあるように、この作品は純粋なアトラクションとして楽しめるほど軽快なインタラクションをするし、描かれる地球は、要素を出来る限り削り落とされた最小限のものである。体験者がその先に何か感じる・考えるとすれば、それは各々の体感者に委ねられたものだ。
この作品は体感者の想像力を喚起するトリガーであって、特定のメッセージを持つものではない。 ただ、ひたすら、「非日常的スケールの地球」と「体験者の身体」の物理的関係を示唆することで、日常に対する新しい感覚・断面を提示するものである。