祝い
この忙しいときに、
制作を差し置いて会わなくてはならない人物など、そう多くもないし、
手を止めて出向かなければならない席もありはしないのだが、
祝い酒とあっては、それも地元の友人の入学祝いとあれば話は別。
高校時代に、5人それぞれが、水泳、サッカー、陸上、野球、柔道と、部活も違う中で知り合い、
ある者は工学部、ある者は浪人して歯学部に入学し、ある者は紆余曲折して大学に入り直した。
美大に来た者もいる。
その中でも、今日の主役は7年という年月を浪人に費やた末での大学入学である。
既に入籍して式を待つ者もいる中での話だ。
もちろん、皆が皆、すべてがすべて妥協のない道ではない。
彼はそう言ったが、7年越しにそれを言えた者を他に知らない。
帰路は、俄雨となった。
醒め始めた酔いの中、
(こんなに気味のよい冬の雨は、東京では初めてかも知れない)
足取りは軽い。
by HIRA