秋
作業を中断して夜食を買いにいく。
放射冷却で冷えきった道路、その上を覆う空気が冷たい。
地元の秋をもうずいぶん見ていない。4年目になる。
地元でこの空気が漂う季節は、風物詩が多い。
秋祭。
夕方になると地元の社中が石見神楽を舞い始める。
友人の父親も鬼や神になる。
黒塚、塵輪、八幡、大蛇、恵比須、熊襲、道がえし、、。
子供は皆、神楽が好きだ。
夜には漁業権のある者は鮎掛けに出かける。
真暗な中州で、川の流れる音と、父の投げる鉛の着水音に耳をこらしたのを覚えている。
柿や栗が、祖母の畑で穫れる。
熟れ過ぎた柿は、持ち帰れないのでその場で食べる。
木の上で食べたのも4年前が最後ということになる。
「柿の木ゃぁかぁ折れるけぇあんまで高ぉ登りんさんなよ」
と祖母はよく言う。
母が仕事から帰ると、階下から3秒点火のストーブの音がするようになる。
朝練のウォームアップが丁寧になる。
落ち鮎シーズンにはそれを狙って遡上するスズキを釣りに行く。
中間試験期間と落ち鮎シーズンは重なる。
部活もなくなり、毎日のように河口に通う。
ここ4年間、当然、自己記録も78cmから更新されていない。
魚が釣れる日は何となく分かる。
朝、玄関を出ると、雲が低く、海鳴りが聞こえれば、脈アリ。
残りは帰省の新幹線の暇つぶしにとっておく。
こんなことを書きたくなるあたりが秋だ。
この時間、そろそろ親父が仕事に出る。
息子も息子の仕事に戻るとする。
by HIRA